給与所得控除

まず金額から言うと、65万円の控除です。大きいですよね。
でも、給与ってそもそも何なんでしょうか。サラリーマンをやっているときは、毎月会社からもらうお金が明確に給与(給料)だと分かります。
ただ、個人事業主になって3社くらいと取引をしていて、その内1社に対しては、半分社員のような形で常駐して作業している場合、この会社からもらうお金は報酬?それとも給料?でしょうか。
税金のことを考えると、この場合は給料の方が良いです。
なぜなら、冒頭に書いた65万円の控除が効くからです。
たとえばA社、B社、C社と取引をしていて、それぞれ年間で250万円(A社)、130万円(B社)、50万円(C社)の報酬をもらっていたとします。
年間の収入は合計で430万円
次に税金の計算元になる所得を出してみます。

経費: 180万円
青色申告特別控除: 65万円
社会保険料控除: 20万円
基礎控除: 38万円

収入から引く金額の合計が303万円
従って、所得税がかかってくる課税所得は127万円ですね。

195万円以下なので、所得税は最低の5%。つまり、63,500円。
ここで、もしB社との取引形態が、週2日、B社のオフィスに常駐してB社のWEBサイトの更新や管理をするような形で、なおかつその業務をB社の社員の指示で行うような形であれば、B社からの報酬130万円は、給与と判断でき65万円分の控除額を引くことができます。

つまり、303万円にさらに65万円を足した額を収入から引くので、所得税がかかる課税所得額は62万円となり、所得税(5%)はわずか31,000円。
もちろん、所得税以外の税金、住民税も安くなりますし、保険料(健康保険、国民年金)も安くなります。
※国民年金は所得の何割という%で決まるのではなく、段階ごとに全額免除、一部免除となるので、給与所得控除を効かせた場合、厳密には安くなる場合とならない場合があります。

気をつけていただきたいのは、B社からの報酬が給与となった場合、B社に使った経費は経費として計上できなくなるという点です。基本的に確定申告で経費を申告できるのは、事業所得に対してのみです。
なぜなら、サラリーマンの場合(もしくはそれに近い勤務形態の場合)その業務で発生する経費は基本的に会社が負担することになっているからです。
従って、発生した経費の領収証の宛名は会社です。個人事業で使った経費ではないということになります。

なので、先ほどは単純に65万円の給与所得控除のみを反映させましたが、厳密には経費が少し減ることになります。
たとえばWEB管理用のソフトウェアを買ったり、有料のWEB関係者の集まりに出たとします。個人事業であれば、これらは経費として計上しますが、B社の業務遂行上行ったのであれば、これらを支払うのはB社であり、従って個人事業の経費ではなくなります。

この点は慎重に検討してみてください。どこをどうすればお得になるのか。

最後に、給与にあたる報酬とは何かを国税庁のページから引用しておきます。ポイントは、クライアントに時間と場所を拘束されているか、クライアントの指揮管理下にあるか、です。

給与所得: 「雇傭契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付」
事業所得: 「自己 の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反覆継続して遂行する意志と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得」

さらに詳しく知りたい方はこちら。
http://www.nta.go.jp/ntc/kenkyu/ronsou/73/03/index.htm

※金額が65万円と大きく、おおもとの所得を出す際に効く控除(所得税、住民税、健康保険、年金に効く)なので節税効果大ですが、その分いい加減な申告だと、目をつけられることがあるかもしれません。そもそも個人事業主でありながら、半分サラリーマンとして働いている、という状態なので。

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